自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 (朝日新書)

評価・詳細レビュー

(4.0点)
心が疲れる原因について、ムリ、ムダ、ムラ、の3つの切り口で原因と対策を紹介する本。

対策の方法は自衛隊でカウンセリングしてきて少しずつ確立していったもので、経験に裏打ちされている。うまくいかなかった対策の紹介もあり、納得感がある。自分自身に適用できそうな話としては、ムダの章で紹介されている、怒りをコントロールする方法「間合いを切る」は特に良いと感じた。また、年間のムリを平均化する計画の立て方もよさそう。組織の視点では、チームリーダーとしてどう行動、判断すればよいかの指針になる話が多かった。


以下、読書メモ


ムリの3つの段階と、それぞれの段階で何が起きるのかについて。1段階目を通常状態とすると、2段階目は2倍モード3段階目は3倍モードにあり、同じことをするにも1段階目と比べて2倍、3倍大変に感じる。
ムリを回復させるには体を休めるしかない。回復にも通常より2倍3倍かかる。
2段階目に色々なことの責任を自分に感じ、3段階目に別人化する(自殺を考える、考えが固定化する等)。
ムリの原因となる疲れは知覚できない。疲れているときは知覚が麻痺してしまうため。時間で疲労を測る。だから労働基準法で時間が決められている。

ムダ。感情の高まりをムダと考え、不必要な感情の起伏、特に怒りをコントロールしてエネルギーの浪費を抑える方法について紹介している。怒りは、怒りの対処をどう攻撃するかに思考が向きやすい。自分以外の誰かについて考えるのは色々予測して考えるので、とても疲れる。思考が思考を呼び、莫大なエネルギーを使う。
怒りをコントロールする方法として、7つの方法を挙げている。怒りを感じたら間合いを切ること。怒りに任せて行動せず、対象から離れ、深呼吸する。そこから、残りの6つの対策をすることで、事態を客観的に見つめられるようになる。それが出来るように少しずつ訓練していく。

ムラ。ムリとムダの起伏がある状態。ムラは蓄積する。蓄積したら解消に同じだけ時間がかかる。1年蓄積したら1年かけて解消していく。10年蓄積したらもはや性格。蓄積しないように対処していく。

新型ウツ。別に新型ではない、見え方は新しいが、中身は同じ。昔は若い人はウツにならなかった。加齢による体の疲れが蓄積し、3倍モードになった中年がウツになっていた。いまは情報過多で、常に他人と繋がっていて心が疲れやすい。このため、学生のうちからウツになる。人との付き合い方の経験が浅い若者は、2倍モード3倍モードになった時の対処を間違える。自分の大変な状況をなんとかしようとするが、周りからは理解しがたい行動に見える。心の疲れは蓄積していても体は疲れていないため、活動で解消しようとする。週末に遊びに出かける、海外に行く。結果として心の疲労に体の疲労が重なり仕事に影響がでる悪循環。結局は休息しないと回復しない。

回復期のアドバイス。休むこと。人生の先輩、友人からの、自分を変える実践系アドバイスは、休養ではないため、回復しない。信頼する人からのアドバイスは実践しようとして、それは休養でなければ当然回復しないので失敗する。失敗すれば自信を失う。自信を失えば悪化する。

休養を計画に組み込む。25%は予備にする。100%使ったら壊れる。自分のペースを知ること。年齢とともにペースは変わる。努力で短期集中で達成するのは「子供の心の強さ」。休む、という選択をする「大人の心の強さ」を身につけよう。

1年間のムリのかかる時期をタイムスケジュールに書き起こして、同じ時期に重ならないようにコントロールする。仕事でもプライベートでも変えられるイベントと変えられないイベントがある。変えられるなら時期が重ならないようにする。ムリの期間が長ければ、その期間の後に回復期間が0.5倍くらい必要。


どうしてもムリのかかる時期がある。組織では、ムリの期間のあとにメンバーが、2倍モード、3倍モードに落ち込む。この時、リーダーは大体の場合1倍モードなので、通常期間では通常行動しようとしてしまい、3倍モードのメンバーは脱落してしまう。回復期間が必要。ただ休むのではなく、メンバーの状況それぞれに応じた休息期間をとる。また、休息後もいきなりフル回転ではなく、団体行動を避け、個人活動で回復させていく(他の人に引っ張られて頑張りすぎないように)。

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