炎上する君

「[…] ばーさん、いい? 女は猫と一緒なのよ。野良猫を見てごらんなさい。顔に怪我をしていたり、体に怪我をしていたりして、いつも、憎々しげな、怖い顔をしているでしょう。苦労すると、女もあんな風になってしまうの。でも、家猫を見て。愛されて、甘やかされているから、とても可愛らしくて、綺麗なの。女は家猫みたいに、愛されるべきよ。」
「家猫は素敵よ、もちろん。暖かい部屋とお食事を与えられて、ブラッシングしてもらえて、綺麗でいることだけを求められる。でもね、私は外に出て、鼠や蟋蟀を捕まえたいの。醜くてもいいわ、私は自分の影が、今の自分より、うんと濃くなったら、それで。」 (「トロフィーワイフ」)

《 恋愛のさなかにいる君、恋の詩をつづる君、恋の歌を歌う君よ。
 周囲の人間に、馬鹿にされるだろう、笑われるだろう、身の程知らずだと、おのれを恥じる気持ちにも、なるだろう。だがそれが、何だというのか。
 君は戦闘にいる。恋という戦闘のさなかにいる。誰がそれを、笑うことが出来ようか。
 君は炎上している。
 その炎は、きっと誰かを照らす。煌々と。熱く。
 君は、炎上している。》 (「炎上する君」)
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