「世間」とは何か (講談社現代新書)

著者
出版者
講談社
価格
¥777

評価・詳細レビュー

(4.0点)

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引用

教徒たちは、たがいに同行・同朋とよんで結びついていた。このような同朋集団は「門徒の老」を中心として結びつき、寺院を持たない。道場を共同で維持し、土地や建物などは門徒惣中(そうちゅう)の共有であった。いわば彼らが日本で初めて平等観を打ち立てたといえよう。(p110)
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「真宗農民の所では神棚や神札、路傍の祠(ほこら)など一切ない。門松や盆棚や位牌もなく屋敷神もいない。法名軸が位牌の代わりに仏壇の横にかけてあるくらいである」(「親鸞と習俗」)。
現在でも教団としては位牌を公的に禁止されているのである。またよく知られているように真宗においては墓をつくらないところも少なくない。いわゆる無墓制である。わが国の歴史を貫いている御霊信仰の一端を知るものにとっては親鸞の教えが持つ画期的な意味は明らかであろう。たとえば児玉識氏が述べているように今でも周防笠佐島などには近世以来の無墓制を守ってきた信徒たちがいる。興味深いのは無墓制であるために日柄や方角に関する迷信やタブーの弱い生活を送っている点である。島全体に講は形成されているが、その運営は輪番制であり、特権者はいない。このような横のつながりの強さは児玉氏によると先祖信仰の弱さと深い関係にあるという。他の地域から嫁に来た女性達は、共同体規制があるにもかかわらずこの島の住みやすさを評価しているとのことである。(p108)
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いつの時代においても商業こそ自由と平等の契機なのであった。個の自覚こそその出発点にあり、それはまず恋愛という形で姿を表したのである。恋愛こそ身分制度の桎梏を超えて人と人を結びつける重要な契機であり、それ故に身分を超えた恋愛は厳しい取締りの対象になっていたのである。(p124)
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