日本沈没 第二部

著者
出版者
小学館
価格
¥1,890

つぶやき

日本沈没第二部は小松節よりは谷節の味わいだったなあ…

評価・詳細レビュー

(4.0点)
小松左京氏の「日本沈没」が実は「第一部」という扱いであり、続編となる幻の「第二部」が執筆中らしいという話を各所で聞いてから十数年、2006年にやっと第二部が刊行された。

「第二部」は、日本沈没から四半世紀後の世界を舞台に、国土を喪失した日本という前提の中で登場人物の苦闘と心情を描き出している。そう、そして「第一部」で離別したあのカップルも登場する。
国土を喪失し、様々な国際的な信用度も失い、国家間の利害の中で翻弄される日本人たち…。本書のテーマは、まさに「苦闘する日本人」と言って良いだろう。
そういう意味でも「第一部」が災害シミュレーション小説だとすれば、「第二部」は仮想世界における政治シミュレーション小説の色が濃いように思える。
とまれ、世界観の理解、登場人物の連続性などもあることから、ぜひ「第一部」を読んだ上で本書を読んで欲しいと思う。

なお、私として不満が残った箇所が若干ある。
まず日本政府やその組織(自衛隊他)、そして日系企業がどうやって維持されているのか、もう少し詳しい状況説明を読みたかった。日本沈没後の護衛艦のメンテとか組織の維持方法、また政府の正当性を裏付ける意味で議員の選挙制度など知りたかった。
また、最終章があっさり終わってしまいどうも不満が残る。要は薄すぎる、ということなのだが、いつも谷氏であれば、この段階からの登場人物や日本政府の行動が緻密に描かれていくだろうという期待があったからだ。帯には「…ついに完結」とあるが、ぜひ最終章前段と後段の間を繋ぐ「歴史」を「第三部」として読みたかった。先頃小松左京氏が逝去され、知の巨人の新著がもはや読めないことがつくづくも残念でならない。

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