ソーシャルメディア進化論

「結局ね、メーカーのECサイトは"自動販売機"じゃダメなんだと思う。もっとあたたかくないといけない。企業コミュニティだと、自分はどのくらい好きかとか、どんなストーリーでかかわっているのかとか、そういう話がメインになってくる。批評とか批判とか、他社との比較といった客観的な話にはならない。完全に主観的な話になる。僕はこれがいいんだと思う。態度変容調査をすると、客観的なコメントよりも主観的なコメントを見たあとのほうが購入してくれている。
自社のサイトに来てくれている時点で、お客さまは背中を押してもらいたがっている。だからそこで、競合との比較の発言とか見せても興醒めさせてしまう。もっと、熱くていい。ファンの声をしっかりと出して、ファンどうしでつながってもらおうというぐらいでいい。外部になる評価サイト(アーンド・メディア)とかとくらべると、うちのコミュニティ(オウンド・メディア)の発言は質が違う。圧倒的に違う。評価サイトは上から目線だし、なんか、主観的な意見自体が敬遠されてしまう雰囲気があるでしょう?でも、結局は「好き」って気持ち自体とても主観的なものだから。
ソーシャルメディアでは、ひとりのお客様からの「好き」っていう言葉がとても大きな力を持ってくる。でも、お客様から「好き」っていってもらえるようになるためには、コミュニケーションをしっかりとっていかなくちゃいけない。だから、自動販売機のようなECサイトじゃダメなんです。つまり簡単なコミュニケーションではダメだってことだと思います」
- ドクターシーラボ ECサイト責任者 西井氏 P236
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私たちは企業コミュニティで交わされた500万投稿に及ぶ消費者のコミュニケーションを観察した。数年にわたる分析の結果、参加者の帰属意識に影響を及ぼすメッセージに共通する特徴を発見した。
帰属意識を育むコミュニケーションには必ず、心あたたまる感謝の気持ちが添えられていた。それらのメッセージには、「ありがとう」といった感謝に準ずる言葉が含まれていた。企業コミュニティの運営に長く携わっている担当者はみな、一様にこの感謝の威力をたたえる。「ありがとう」はサポーターたちの常套句でもある。企業コミュニティにおいて消費者は、商品を購入する以外の好意で企業から感謝されるという経験をする。ここでは「感謝すれば、感謝される」という循環が起こっていて、それは、心あたたまるコミュニケーションで増加する。心の通った対話が交われたというサインが感謝の表出だといい換えてもよい。 P219
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ところが、やってみるとびっくりするぐらいにうまくいかない。ハガキを送ることと企業コミュニティに書き込むこととでは、ずいぶん様子が違うということがわかってきた。実はハガキのほうがはるかにハードルは低いのだ。ハガキやお客様センターへの電話は、一対一のやりとりになるのでそこに他人の視線はない。送り手に恥ずかしいという気持ちは生じない。ところが、企業コミュニティで投稿するとなると事情は変わってくる。たとえるなら、お立ち台にのぼって、聴衆の前でマイクを持って発言するようなものだ。自分の発言をみんなが聞いている。大勢の人から見られている。 P187
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企業コミュニティに登録はしたが、まだ投稿はしていないというROM(Read Only Member)のうち、果たしてどの程度の人が、内心は投稿をしたいと思っているのだろうか?プレゼンターがもったいつけたようにページをめくる。そこには、「84%」という数字が大きく表示されていた。ROMにはかなりの割合で、投稿をしようとしたが躊躇して途中でやめたという経験があった。投稿を途中でやめた参加者は、その理由として「(その場に)どういう人がいるのかわからないので、発言しづらい」「さしあたり、まだ場の雰囲気を探っている段階なので、いましばらく傍観します」といった心的な障壁を挙げたが、みな、場の空気を読もうとしている点で共通していた。 P184
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「ゲームの設定というのはね。何でも自由にできるようにすればプレイヤーが自由を感じるかというとそうじゃない。決められた設定、役割を与えて、ちゃんとルールをつくる。そのなかでプレイヤーに選択肢を与える事が大事だ。このバランスが上手に作れたときに、初めて自由を感じてもらえる。」
- 「龍が如く」プロデューサー名越稔洋氏 P186
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花王のコミュニティ「GO GO pika ★ pika MAMA(通称「ピカママ」)」では、赤ちゃんの誕生月ごとにサークルが用意されている。花王の看板商品「メリーズ」の愛用者は数え切れないほどいるが、メリーズについて語ろうとするよりも、その利用シーンのライフスタイルまで引き上げた方がコミュニティは活性した。利用者が登録時に子供の誕生日を入力すると、同じ月齢の新米ママが集まるサークルが紹介される。同じ月例の赤ちゃんを持つママたちは、同じような不安や悩みを持っている。サークルでは活発なやりとりが展開された。 P160
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有名な事例をいくつか思い出してみる。世界最大の流通企業「ウォルマート」は、ある一般カップルがウォルマートを使ってアメリカを横断するというブログを偽装して炎上した。世界最大のソフトウェア企業である「マイクロソフト」も、新商品の発売にあたり「有名なブロガーにやらせ記事を書かせた」ということで厳しい批判を受けることになり、謝罪広報を行うまでに追い込まれた。いずれも消費者に近いブランドをつくろうとして、かえって消費者を敵に回してしまったケースだ。 P21
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