世界制作の方法 (ちくま学芸文庫)

世界を作っている多くの材料―物質、エネルギー、波動、現象—は、世界と一緒に作られる。しかし、何から作られるのか。どう見ても無からではない。それは他の世界から作られる。世界制作はわれわれの知るかぎり、つねに手持ちの世界から出発する。制作(メイキング)とは作り直し(リメイキング)なのだ。…本書における私の関心は…ある世界を他の世界から構築するさいの工程にある。(p.26)
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あるヴァージョンを、記述も、描写も、知覚もされない世界との比較によって検証するのは不可能である。…「世界」とはおそらくあらゆる正しいヴァージョンが記述するところのものだろう。だから、どんなヴァージョンが正しいかを決定することは「世界について学ぶこと」だといえよう。ところが、われわれが世界について学ぶことは、その正しいヴァージョンのうちにすべて含まれているのである。(p.23)
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多くの世界があるというのは、正確にはどういう意味でなのか。本物の世界をいつわりの世界から区別するものは何なのか。世界は何から作られているのか。世界はどのようにして作られるのか。その制作にさいして記号はどのような役割をはたしているのか。さらに世界制作は知識とどのように関連しているのか。これらの問いを正面から取り上げなくてはならない。(p.18)
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