皺 (ShoPro Books)

つぶやき

いっぽう、スペインのコミック『皺』では、記憶は写真に喩えられている。アルツハイマーにかかった主人公の頭から、白黒写真=記憶が風に乗って吹き飛ばされていく。でも、主人公の表情もそれを見守る女性の表情も清々しい。顔にあたる風の感じが、見ているこちらにも伝わってくるよう。
MoJa 
息子夫婦に連れられ、老人ホームに入ることになった元銀行員のエミリオ。そこでは、たくさんの老人たちがそれぞれの「老い」を生きていた。やがて彼らは「アルツハイマー」という残酷な現実と向き合うことになり……。
スペインの漫画。すごい評判いいんだけど、いかんせん高い。

評価・詳細レビュー

(3.0点)
スペインの漫画家パコ・ロカの作品。この単行本には2編収録されている。

痴呆が進み老人ホームに入ることになった主人公を中心に、施設の老人達とその老いを描く表題作「皺」。
敵軍から逃走中の若い兵士が、逃走中に偶然流れ着いた灯台の灯台守と交流する様を描く「灯台」。

前者の舞台は老人ホームとなるわけだが、日本の老人ホームと何が違うというわけでも無く、感情移入しやすい。抗おうとしても否応無く「老い」に飲み込まれる様は悲しく怖ろしいが、柔らかい色とタッチで描かれた絵とがそれをカバーして落ち着いた作品になっている。良作。

後者は灯台が舞台になっているが、まえがきを読むとヨーロッパには灯台が舞台となっている漫画がけっこうあるようだ。そのまえがきには「灯台が、人びとを惹きつける磁力のようなものを持っている」と書いてあるが、日本人が里山に郷愁を感じるように、ヨーロッパ人は灯台に郷愁を感じたりするのだろうか。クリストフ・シャブテの「ひとりぼっち」もそうだったが、灯台の中で暮らす灯台守はほとんど社会から隔絶されて生活しているから、日本でいう世捨て人的な感じがあるのかも。
日本人は脱サラして里山に自給自足の生活を求めるが、ヨーロッパ人は灯台で灯台守になるのかな(言い過ぎ)、と想像して少し面白かった。

「俺、会社辞めて灯台守になる!」と言ってみたい。

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