ゲームストーミング ―会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム

曖昧なゴールはプロジェクトに対するメンバーの情熱とエネルギーに調和していなくてはなりません。創造的なプロジェクトに弾みをつけるのが、この情熱とエネルギーですから、曖昧なゴールには、やむにやまれぬ感情的な要素がぜひとも必要です。(p8)
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ケンブリッジ大学の研究者アラン・ブラックウェルのグループは「学際的チームによる破壊的イノベーション」と題する論文で、曖昧なゴールを改革の成功に欠かせない要素だとしています。曖昧なゴールは「旅の間、チームの目を好機からそらすことなく、仕事の全体的な方向づけをする」ものだというのです。あるリーダーは自分のアプローチを「遠回しのマネジメント」と表現しています。また、この研究チームは「集中によって得られる成果と偶然によるせいかのバランスを取ること」と「チーム全体のゴールと各メンバーのゴールの調整を図ること」が重要だとも指摘しています。(p8)
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知識労働ではゴールは曖昧でなければなりません。
〈略〉
ビジネスプロセスが原因と結果の確実でゆるぎない連鎖を作り出すのに対し、ゲームストーミングは別のもの、すなわち連鎖ではなく、探求、実験、試行錯誤のための枠組みを作り出します。ゴールまでの道のりははっきりせず、しかもゴールさえ変わってしまうかもしれないのです。〈p6〉
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知識労働(ナレッジワーク)では創造性を求めて仕事を管理しなければなりません。予測可能なことよりも画期的なアイディアが欲しいのです。画期的なアイディアは元来予測不可能なものです。創造性を求める仕事においては、ゴールは過去を少しずつ改善することではなく、何か新しいものを生み出すことです。
「新しい」とは「今まで見たことがない」という意味です。したがって、チームが真の創造を求めるなら、ゴールを前もって正確に定めることは不可能です。(p6)
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ビジネスは他の多くの人間の営み同様、(複数の)ゴールを中心に構築されます。ゴールは私たちがAからBへ、つまり今いるところから行きたいところへ移動する方法です。ゴールがあると現在の状態A(初期状態)と将来の目標である状態B(ゴール)との間にある種の緊張関係が生まれます。AとBの間にはゴールへ到達するために踏破しなくてはならない道があり、これを「チャレンジスペース」と呼ぶことにします。(p5)
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製造業では、いつも変わらない結果、反復可能で予測可能な結果を目指して作業を管理することが望まれます。製造業におけるゴールは具体的で量の計測が可能であることが強く望まれます。できる限り明確で、曖昧さのないゴールが求められます。できるだけ具体的であることが求められ、またできるだけ正確に測定できることが求められます。このような明確なゴールがある場合、「ビジネスプロセス」を踏むというのが、チャレンジスペースに取り組む最良の方法となります。ビジネスプロセス、つまりある一連のステップに正確に従っていけば、原因と結果の連鎖が生まれ、常に同じ結果につながることになります。(p5)
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ゲーム思考は、自社にとっての成功のシナリオを皆が意識し、相互に助け合いながら、シナリオの実現を目指す働き方です。〈中略〉重要なことは、どうしたらゴールできるのか? という究極の目的を全員が意識し、知恵を出し合い、助け合うことです。リーダーはイノベーションの障害を取り除き、精神的な支援を惜しみません。成功シナリオの実行度合いを確認し、うまくいった点、いかなかった点を全員で話し合い、成果だけでなく他人を助けたかどうかを含め、良い行動をした人を称賛します。その結果、どういう行動を各人がとればよいのかということについて組織全体が学習することになります。(p.xv)
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一方、ゲーム思考の生産性の原則は、「新たな変化や挑戦に対する相互支援スピード」になります。私は、これを「私は100%がんばっています」という従来の生産性と対比して、組織全体で革新が起きるスピードという意味を込めて「革新生産性」と呼んでいます。一人ひとりの社員がパンパンに仕事をしている組織では、誰も変化に対応することができません。トップが新しいプロジェクトを立ち上げようとしても、「そのうちにやっておきます」、みたいになってしまうのです。革新生産性の高い組織は、ルーチンワークの比率を常に下げる努力をしていて、変化に積極的に立ち向かいます。プロセス思考にとって「変化は脅威」ですが、ゲーム思考にとって「変化はチャンス」です。(p.xiv)
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経営の発想をプロセス思考からゲーム思考に変えると、経営管理のPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルは大きく変わります。その根本的な発想の違いは、「生産性(プロダクティビティ)の定義」に表れてくるでしょう。
プロセス思考の生産性の原則は、「計画どおりの仕事を遂行するスピード」です。何があろうと計画どおりに仕事を実行することが、もっとも重視されます。管理者は実行状況を常にチェックし、適宜介入し、予定どおりに目標が遂行できるように努めます。あらかじめ設定した目標値の達成状況を評価し、達成していない指標については、すぐに改善案を検討します。当然、計画を達成した人に報奨を与えます。他人の仕事に首を突っ込んで、自分の仕事が滞った人は、ご存じのように、たとえそちらのほうが大事なことであっても、計画どおりに行かなかったことを反省させられることになります。結果として、誰も他人や他部署のことはおかまいなしのタコツボ文化が強化されます。(p.xiv)
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創造的な組織のリーダーは、プロセスの管理を自分の仕事とは考えません。もしゴールがわかっている仕事であれば、そのプロセスは明確で、そのとおりに仕事をしているかどうかを管理することに意味があるかもしれません。ですが私たちのまわりに、そんなわかりきった単純きわまりない仕事があるでしょうか?(p.xiii)
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プロセスを明確に定義し管理をすれぱするほど、個人の「やらされ感」は高まります。過度の標準化を行ってしまうと、仕事の本質を考えていこうというモチベーションを人から奪い去ってしまいます。いくら標準化を進めたとしても、毎日の仕事は例外処理に溢れています。例外をできるだけ少なくして仕事のスピードを上げる努力をする企業は多いと思いますが、生産性を真に高めるためには「例外こそ知識の宝庫」という考え方を持つ必要があります。何かあっても結果として遅れが出ないことを重視する職場では、例外や失敗を「なかったことにする」風土ができあがります。当然の帰結として、学習しない組織へと一直線に向かうことになります。厳密すぎる分業と管理は、創造性を発揮する余地を失わせてしまうのです。一見効率的なように見える分業と管理は、一人ひとりの持つ豊かな感性・直感力・創造性という資源をまったく活用しないため、新たな問題に対処する力が弱く、成長のスピードも遅くなります。(p.xiii)
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