ヘッジファンド―投資家たちの野望と興亡〈2〉

著者
出版者
楽工社
価格
¥1,995

評価・詳細レビュー

(3.5点)
リーマンショックをピークとして繰り返されてきた金融危機。
投資銀行やヘッジファンドは悪者とされてきたが果たしてそれは正当な批難だろうか?

本書はそのことを考えるうえでのヒントを与えてくれる。

結論として著者は「ヘッジファンドを振興することが金融危機を回避するために有用だ」と述べる。

「too big too fail(つぶすには大きすぎる)」銀行が投資業務を行うことは、
ダウンサイドリスクが限定されているためにアップサイドリスクを際限なくとる(レバレッジを高める)
インセンティブが働きやすい。

そうであればそれよりはずっと小さいヘッジファンドのほうがずっといい、というのが論拠。
この意見は納得できる。

# もちろんかつてのLTCMのように大きすぎて破綻が金融危機を引き起こすヘッジファンドも存在するが、
# そのようなヘッジファンドはエクスポージャーの絶対額などでふるいをかけてリスク管理を強制すればいい
# といったような対策も著者は提案している

また個別のエピソードでおもしろかったのは、
メダリオンと言うヘッジファンドのピーター・ブラウンとロバート・マーサー絡みの機械翻訳。

IBMの研究所時代の彼らが携わった機械翻訳はこれまでの関連分野の様相を一変させたとのことだが、
それは次のようなアプローチを採ったから。

従来:外国語ができるプログラマーが文法などをコンピューターに教えるやりかた(通常の英語学習みたいな感じ)
彼ら:カナダ議会の数百ページの議事録(英語とフランス語が併記)をインプットとしてコンピューターに与えて
   その相関関係を分析させるやりかた

結果的にこの力任せのアプローチは競合システムの翻訳制度を大きく上回ったそうだ。

これはいろいろと示唆に富む結果だと思う。

ともあれ本書はヘッジファンドに興味がある人は読んで損はしない。
ただ、そういったことに興味がない人が読んでもあまり面白いとは思えないかも。

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