血涙(下) (PHP文庫)

評価・詳細レビュー

(5.0点)
泣ける。傑作。燕雲十六州を巡る宋と遼の遺恨を和平交渉でまとめあげようとする文官の工作の中、楊家軍と耶律休哥軍が真正面から激突するクライマックス。戦うことを運命づけられた漢、四郎と六郎の激越の剣闘に涙せずにいられない。豊穣な宋と荒涼な遼の対比が細かく描かれているが、同時にそこから戦いにおける兵糧が及ぼす民への影響と兵站の重大さが印象深い。周りの国から食料や原材料の補給を止められた時、今の国はどれだけの年月を凌げるのかなどと考えてしまった。

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