死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う

著者
出版者
朝日出版社
価格
¥1,680

つぶやき

森達也の本を読むようになったきっかけの本をもう一度読んでみた。
丁寧に取材し、自らも死刑について悩みぬいてる姿勢は尊敬できるし、共感もできる。
共感もできて尊敬もできる文章こそが森達也のノンフィクションの魅力だと思う。

評価・詳細レビュー

(5.0点)
貪りつくように一気に読みきった本。
相当面白い。

タイトルから想像に難くない、死刑は廃止か、存置かを
徹底した体面取材を通して著者が輪郭付けいく作品。

冒頭、著者は語る。
「(死の)同心円の周縁には、罪と罰、加虐や報復、贖罪や暴力、怨嗟や憎悪、哀切や悲嘆などの要素が並び、
そしてこの中心に「死」がぽっかりと、虚無の深い口を開けている」

とにかく取材を続けながら森氏は揺れる。立ち止まる。絶句する。
その繰り返しだ。ある種の弱々しさが浮き出てくる。
でもそれは、森氏が常に一人称単数で考え進んでいるから。
決して複数で一般化することしない氏の強さでもある。

森氏は中立ではない。公平でもない。
表現者である以上、揺れや対象者との距離感も含めて、
恣意的に表現をしている。

その上で、死刑は廃止か、存置かに是非を問うことに大きな意味はない。
貪るように頁を繰るというその忘我にこそ意味がある。

俺はあっちに行ったりこっちに行ったりして、こう考えた。
お前はどうだった?

森氏は煩悶しながらも問いかけてくる。
私やあなたという一人称単数が考えるという行為を強いる。
表層的な一般論を口にすることは無意味、と無言で投げかけてくる。

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(4.5点)

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引用

"僕は人に絶望したくない。生きる価値のない人など認めない。" 322ページより引用
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