男性優位の企業文化は崩れてきている。知識社会では──異なる視点の相乗効果が新しい需要を創造する源となるために──多様性が競争優位を生む。となると、現在の日本においては、女性社員の積極的な参加が必須となるのだが、彼女たちにとって論理的なフレームワークは、必ずしも自然な思考の形ではない。p59

よくできた事業モデルにおいては、出会いの深層背景を共有する者同士は全員が曲線を描きながら、最終的に同じゴールにたどり着く。ということは、出会いの深層背景に集まる誰かひとりを深く理解し、そのひとりがHAPPYにいたる軌跡を描けるようになれば、他の多数の人々をHAPPYにする軌跡も描きやすくなるということである。p442

知識社会におけるマーケティングにおいて重要になるのは、いかに自分たちのヴィジョンを実現するのにふさわしい顧客と、ふさわしいタイミングで出会うことができるかという問いである。つまり顧客とは、企業が提供する商品を消費させる対象ではなく、互いの成長のために、新しい価値をともにつくり出していくパートナーp.433

顧客は集められるのではなく、顧客が自ら必要とする場を見つけて、そこに自然に集う

人が集まる場には、そもそも場が持ったテーマがあり、そのテーマに共鳴した人たちが自然に集まってくると考えるのである。〈中途略〉
磁石を想像してみれば、わかりやすいだろう。砂鉄が集まったときに、砂鉄は自らの意志で集まったのではない。その中心に磁場が形成されていたから、自然に吸い寄せられたのである。砂鉄のひと粒ひと粒を集めようとした場合、それは不可能ではないだろう。しかし、途方もない時間と労力がかかる。それが、そこに磁場を形成したとたん、こちらから働きかけなくても、砂鉄は自然と集まる。砂鉄にとらわれていては、いつになっても大きな磁場の存在に気づくことはないのである。p.419