谷崎から古今の『文章読本』を集めてこき下ろす、というかこき下ろすために集めたんじゃないかと思えるほどの嫌らしさに辟易した。ただそのために８２冊の『文章読本』（というタイトルでは必ずしもないが）を読みほし、八年をかけて書いた（その間ずっとつきっきりかどうかは知らないが）というのはすごい、よくもこの悪意が時間の中で減じなかったものだ。
　また後半、内容の三分の一くらいの分量で「作文教育」について書かれており、こちらはとても読み応えがある。嫌いだけど、評価を下げると嘘になる。しかし嫌いなので、読もうと言う人はブックオフでの購入をオススメする。けっこうあるから。