ジュールさんとの白い一日
「雪が降ったのよ、ジュール」
ソファの背もたれから出ている夫の後ろ姿に向かって言った。夫はいつもは台所で、毎日同じように几帳面に用意した朝食のテーブルで待っている。相槌を打たないジュールに、アリスは笑みを浮かべる。きっと懐かしげに雪を眺めながら、冬らしい冬があった昔のことを考えているに違いない。凍りついて厳しかった冬のことを。
--出典: ジュールさんとの白い一日
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