現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)
二〇世紀の経験は、人間の〈自由〉を原理とする社会でない限り、たとえどのような理想と情熱から出発した社会であっても、必ず新しい抑圧のシステムに転化するほかないことを示した。われわれの社会のがその外部と内部に、どのような困難を生み出すものであっても、それらの困難をのりこえることは、〈自由〉を手放すことをとおしてではなく、ほんとうに〈自由な社会〉の実現にとって必要な条件とは何か、という仕方でのみ提起されるべきものである。(p.41)