モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
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 数学の勉強をさせようとして、問題集を一ページ終えるごとにお小遣いを与えたとしよう。するとその子はほぼ確実に、短い間なら熱心に勉強するが、長い目で見れば数学そのものへの興味を失う。仕事に情熱を燃やす工業デザイナーに、もっとよい成果を期待して、製品がヒットすれば報酬を与えると約束する。当面の間、彼はきっと我を忘れるほど仕事に没頭するはずだ。だが、やがて長期的には仕事に対する興味を失うだろう。行動科学の有力な教科書にあるように、「人は、他人の意欲をかき立てて行動を促し、そこから利益を得ようとして報酬を用いるが、かえって活動に対する内発的動機づけを失わせるという、意図せぬ隠された代償を払う場合が多い」。
 これは、社会科学の分野において、もっとも揺るぎない発見であり、同時に、もっともないがしろにされている発見でもある。