現代思想のパフォーマンス (光文社新書)
わたしたちが「自然」で内発的だと信じている親族の親族感情は、それぞれの手段をシステム化するための「on/off」スイッチの役目を果たしているのである。これが音韻論に触発されたレヴィ=ストロースの結論である。
これは衝撃的な知見である。これまでわたしたちは、人間が社会構造をつくりあげてきたと考えてきた。しかし、レヴィ=ストロースはそれを否定したからである。社会構造が「人間」という概念をつくり出してきたのであり、わたしたちが「人間性」と呼び慣わしているものが、本質的に社会システムの要請する機能にほかならないと告げたからである。p.239