日常的実践のポイエティーク (ポリロゴス叢書)
空間と場所の区別…。場所というのは、もろもろの要素が並列的に配置されている秩序のことである。…ここを支配しているのは「適正」かどうかという法則なのだ。…場所というのはしたがって、すべてのポジションが一挙に与えられるような布置のことである。…空間というのは、それを方向づけ、状況づけ、時間化する操作がうみだすものであり…空間とは実践された場所のことである。…読むという行為も、記号のシステムがつくりだした場所ー書かれたものーを実践化することによって空間をうみだすのである。…メルロ=ポンティも、「幾何学的」空間…とはちがったもうひとつの「空間性」を区別し、それを「人間学的空間」とよんでいた。…このような見かたにたてば、「さまざまな空間経験の数だけ、空間の数があることになる」。世界の内に在るという「現象学」がメルロ=ポンティのこのパースペクティヴを規定しているのだ。(p.242〜243)