通貨で読み解く世界経済―ドル、ユーロ、人民元、そして円 (中公新書)
第1章 世界金融危機とマクロ経済政策
Ⅰ.金融危機とドル
現代の基軸通貨
サブプライム問題
世界金融危機へ
グローバル・インバランス
アメリカの経常収支
政策金利の誘導
テイラ・ルール
バーナキン議長の反論
危険な住宅ローンがバブルを後押し
テイラー教授らの反論
海外から資金流入
為替介入と外貨準備
為替操作国認定を巡る米中の駆け引き
アメリカの投資損益
外貨準備という「人質」
Ⅱ.短期の政策対応とドル
ドルの長期的水準感
金融危機への政策対応
量的緩和と信用緩和
金融政策の為替相場への影響
不胎化介入
金融危機の財政策
財政政策の為替相場への影響
金融政策と財政政策の境界
質への逃避
金とドルの流動性
リスク・アベタイトの復活
雇用情勢と緩やかなドル安進行
第2章 基軸通貨ドルの将来
Ⅰ.基軸通貨の地位確立と国際金融システム
ブレトン・ウッズ体制
ドルの基軸通貨化と主要通貨の交換性の回復
トリフィンのジレンマ
変動相場制への移行
資本移動の自由化と通貨危機
Ⅱ.金融規制改革と基軸通貨の条件
アメリカの金融規制緩和の歴史
金融危機の規制強化の方向性
ボルガー・ルール
連邦議会での立法化に向けた動き
進展のないGSE改革論議
ファニーメイ廃止発言の背景
余禄-ロシアの陰謀
財政健全化
財政収支と経常収支
FRBの出口戦略
家計貯蓄改善による国債国内消化
国際金融のトリレンマ
チャレンジを受けるドル
第3章 ユーロの課題と展望
Ⅰ.ユーロ圏は最適通貨圏か
最適通貨圏とは何か?
欧州通貨統合の歴史的背景
1992年の欧州通貨危機
英国の選択
マーストリヒト条約と安定成長協定
Ⅱ.ユーロの可能性
ユーロの誕生
マクロ経済状況
ソブリン・リスクの拡大
欧州通貨統合の成果と問題点
ユーロの展望
共同で国債を発行する仕組み
第4章 東アジアの台頭と人民元
Ⅰ.東アジア経済の発と危機
ラテンアメリカの債務問題と東アジアの奇跡
アジア通貨危機とドル・ペッグ制
通貨危機の伝染
危機の根本原因
Ⅱ.東アジの通貨金融協力
チェンマイ・インシアティブ(CMI)
アジア債券市場イニシアディブ
域内の為替の安定
アジアの地域協力の方向性
Ⅲ.中国の改革開放政策
自力厚生から改革開放へ
中国経済の光と影
WTO加盟と輸出の急増
Ⅳ.中国の為替政策と人民元の国際化
2005年7月の為替レート制度改革
投資加熱問題
中国の景気対策とバブルの危険性
4兆元の景気対策の中身
中国の為替政策の行方
為替レート調整の三原則
人民元の国際化
第5章 円高と日本経済
Ⅰ.円の国際化の挫折
日米円ドル委員会
プラザ合意と円高不況
バブルの発生
バブルの崩壊
円高とデフレ
国内の金融システム不安
金融危機から輸出主導の回復へ
日本の国際金融政策の独自性
Ⅱ.デフレ脱却と為替介入、円キャリートレード
デフレと金融政策
量的緩和とインフレ・ターゲット論
金融緩和策としてのドル買い介入
足下の円高は持続可能なものか?
少子高齢化
海外への投資と円キャリートレード
財政刺激策(景気対策)の是非
第6章 国際金融システム改革
Ⅰ.国際通貨制度の問題点と改革案
IMFスタッフによるレポート
ドル一極体制の問題点
現代のトリフィンのジレンマ
基軸通貨国としての負担
周小川論文の問題提起
ドルのジレンマ
アジアでの金融協力の推進
外貨準備需要の増大
外貨準備節減とIMFの役割
他の準備通貨の供給策
ステグリッツの改革案
政策担当者の見方
今後の見通し
Ⅱ.日本の課題
ソプリン・リスクと財政規律
家計貯蓄率と経常収支
デフレ期待の払拭
ポリシー・ミックス
日本の競争力