免疫ネットワークの時代―複雑系で読む現代 (NHKブックス)
語りが大切だということは、もう一つ大事なことにつながっていきます。仕事をするのは個人でなくて、むしろ仲間との共同なのだという点です。語りを進めるにはどうしても仲間が必要です。そしてうまくいっている仕事は、仲間で活気をもって行われています。ところが建て前として、仕事は個人がやるもので、孤立した個人の仕事の総和として、全体の仕事が考えられます。そのことは、仕事の評価が個人を単位にして行われていることにも現れています。
もっとも孤立してなされていると思われる研究活動でさえも、仲間との日常的な語りが不可欠です。それも多くはインフォーマルな語り合いとして。仲間と共同して研究をする文化があるところに、おもしろい研究者が育っているようにみえます。(p28)