佐藤可士和のクリエイティブシンキング
日本ならではの伝統的な表現方法のひとつに"見立て"があります(...)生け花で花を擬人化し女性になぞらえることや、日本庭園の枯山水において、巨石で山や島を表し、砂利に緩やかな曲線の筋をつけて水の流れを表したりするのも同様の精神です。落語の世界でも、扇子や手ぬぐいという限られた道具を使って、蕎麦をたぐったり手紙を書いたりする様子を鮮やかに演ずるシーンがよくみられます。優れた美意識を伴った見立てのこころは、日本のさまざまな文化における原点であり、対象を別の何かに例えて表現することで、対象の本質が浮き彫りにされ、さらに既存の価値を超えた新たな価値が見いだされてきました。 P34