佐藤可士和のクリエイティブシンキング
美大生の頃は美術という共通言語があったため、相当曖昧なことでも友人同士で感覚的に理解し合えることがほとんどだったのですが、一般社会ではそれが全く通じなかったからです。たとえば、企画会議でビジュアルを見せて「これカッコいいでしょう、分かりますよね?」と言うだけでは当然ながら誰も理解してくれず、最初はずいぶん苦労しました。そのアイデアの新しさや独創性、造形的な美しさ、時代への適合性などを、言葉で分かりやすく説明しないと誰にも分かってもらえないことを痛感し、どうにか理解してもらおうと四苦八苦していました。そのときにパワーを発揮したのが見立てです。くどくどと説明するより「要するにxxみたいなものです」「xxに喩えるとこういうことです。」と的確に見立てられると一気にイメージの共有ができて、考えていることがうまく伝わり仕事がスムーズに済むという経験をしました。それ以降、かなり意識的に見立てを訓練するようになったのです。 (p36