狂気の歴史―古典主義時代における
正当な懲罰を与える狂気も、やはり道徳の世界に属する。この狂気は、精神の混乱によって、心情の混乱を罰するのだが、その他の力も持っている。というのは、狂気によって加えられる懲罰は、それが罰しつつ真実をあばくにつれて、あすますその数が増えていくからである。この狂気の制裁には、それが正当であるという特色がある。正当というのは、すでに罪人は、幻影がむなしく渦巻くなかで、将来ずっと自分に加えられる懲罰の苦痛を感じているのだから(例:『メリット』)。…正当であるという別の理由は、すべての人の目に隠されている犯罪が、奇異な懲罰が加えられる夜に、明るみに出るからであって、…狂気が自分の事態を打ち明け、妄想のなかで自分の秘密の真実をのべ、良心のかわりに叫び声をあげてしゃべりだす(例:『マクベス』)。(p.53-54)
--出典: 狂気の歴史―古典主義時代における
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