西巷説百物語 (怪BOOKS)
評価 : (4.0点)

主役が又一から林蔵へ、舞台は江戸から上方へと移っての百物語。これはスピンオフ作品的な位置付けなのかな?京極夏彦氏の京極堂シリーズと百物語シリーズはハズレなしだと思う。前シリーズのような一味総出の大掛かりな仕掛けとは赴きを画し、主に林蔵がひとりで行う騙りによる仕掛けになっていて、若干規模がスケールダウンした感はあるけれど、それでも充分面白くて読み応えあり。逆に質の高い舞台脚本のようで素晴らしい。百介の語りと惚けた絡みや、又一の登場がほとんど無いのはシリーズの愛読者として少し寂しかった。☆がひとつ足りないのはお馴染みのキャストの登場シーンが少ないからで、これは個人的な思い入れによるもの。ここまでの採点基準で言えば本来文句なしの☆五つ。シリーズ通して最初から(刊行順に)読むことを是非お薦めしたい。絶対面白いから!「面白くない」という人がいたら「おまえに読書の素養が無いだけだ」と言い返せるくらい自信を持って薦める。


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