新釈 走れメロス 他四篇
評価 : (5.0点)

この人、本当に本が好きなんだろうなあって思う。誰もが知ってる有名作家の、誰もが読んだことのある有名短編のパロディ集。パロディではあるけれど、もちろん森見氏らしい人物設定、森見氏らしいストーリー展開、森見氏らしいユーモア溢れる文体は健在で、まさに森見ワールド全開の短篇集。それぞれオリジナルとは全く別の物語になってます。これらの有名な文学作品をこんな思いも寄らない方向に話しを膨らませることのできる才能に、脱帽どころか髪の毛も全部抜いて差し出したいくらいの畏れ多さ。電車の中で小説を読んでいて吹いくという数少ない経験をさせてくれた一冊。笑いの要素ばかりではなく『桜の森の満開の下』では不覚にも落涙させられました。本好きな方には特にオススメの一冊です。


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