冷戦―その歴史と問題点
評価 : (4.0点)

本書は、第二次世界大戦終了間際から1991年のソ連解体までのいわゆる「冷戦」を、歴史家の客観的な立場から俯瞰しつつ、その中でのキーマンにフォーカスを当てて解説した歴史書だ。
対立当初の東西両陣営の指導者、そして前世紀末の冷戦を解消する上で重要だった人々の働き、そしてその限界点や問題点なども簡潔にまとめられている。
ちなみに私は冷戦時代後期を知っている人間だが、あの当時の時代の雰囲気というものを思い起こしながら本書を最後まで一気呵成に読むことができた。20世紀の歴史を理解するための好著と言える。

なお、後書きに訳者も書いているが、本書を読むと日本の存在感の無さが、本当に浮き彫りにされる。ゲームに参加するのではなく、ゲームの駒として扱われていた、ということが感じられる。現在においても、その状況は果たして改善されているのか、というのも読後気に掛かった点である。


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