ちなみに第17章「キルロイ参上」は、私のかつての愛読書、佐藤大輔氏の短編「キルロイここにあり」にも使われたフレーズで、戦争中に兵士達に人気のあった、連合国側各国各地域に遍在する謎のキャラクターのことだ。様々な地域の色々な場所や物に「Kilroy was here.」と書くのが流行したらしい。個人名でも無く、有名キャラでもなく、キルロイという無名の人名を書く、という行為は、平時を生きる私には分かるようで分からない。キルロイという共通のキーワードを使うことで、互いに会うこともない兵士達が、戦時という極度の緊張を強いられる時代の中で、何か連帯感を感じていたのかも知れない。
本書が取り上げている内容は、連合国の兵士と国民の生活を通して描き出した第二次世界大戦のある「現実」である。戦場で暇を持て余した兵士向けに刊行されたペーパーバック、総力戦によって戦場が後方の市民生活と重なった結果、残酷な現実と向かい合うことになる普通の市民達、配給所を「ブリティッシュ・レストラン」と呼ぶ欺瞞など、米英両国の事例を中心に18章構成で書かれている。著者は実際に第二次世界大戦を体験した人間で、米国出身で欧州戦線で負傷して勲章を貰っているようだ。
ちなみに第17章「キルロイ参上」は、私のかつての愛読書、佐藤大輔氏の短編「キルロイここにあり」にも使われたフレーズで、戦争中に兵士達に人気のあった、連合国側各国各地域に遍在する謎のキャラクターのことだ。様々な地域の色々な場所や物に「Kilroy was here.」と書くのが流行したらしい。個人名でも無く、有名キャラでもなく、キルロイという無名の人名を書く、という行為は、平時を生きる私には分かるようで分からない。キルロイという共通のキーワードを使うことで、互いに会うこともない兵士達が、戦時という極度の緊張を強いられる時代の中で、何か連帯感を感じていたのかも知れない。
本書は戦争中の連合国の風俗、兵士の心境、銃後の国民の生活とそれを統治する政府の政策などを多面的に知りたい人向けの書籍かと思う。