異邦人 (新潮文庫)
評価 : (4.0点)

見よ!人間の不条理を!と言わんばかりの作品。母親の死に涙を流さないことが、太陽のせいで人を殺すことが、ありえないことだとでもいうのだろうか。かと思えば一人の平凡人の長所が、罪人になった途端に圧倒的な罪となる。ムルソーはせめて彼の死の瞬間、彼を裁き悪人だと言い放った民衆が同情することを許さず、憎悪をもって見届けさせることこそ自分の死の意味であり、それを願ったのかもしれない。


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