文学理論 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

評価・詳細レビュー

(3.0点)
 批評のジャンルごとにひとつひとつわけていくのではなく、境界を取り払って描いていくという手法はいいが、いささか文章が読みづらく、その点少し残念である。
 境界を取り払って、と書いたが、最後に簡単ではあるがそれぞれの理論についてわけて書かれてもいるので、そこから読んでもいいだろう。
 ジョナサン・カラーの本は最近岩波現代文庫入りした『ディコンストラクション』が網羅的でいいものだが、二分冊でゆっくり進んでいくとはいえある程度むつかしい(まだ読んでいる途中だが)。この『文学理論』は多少詰め込み過ぎの感もないではないが、悪くない本である。
 いずれ入門書は色々な人の書いたものを読むのがいい。一人にしぼると偏るし、なにより攻める角度が同じようになるので、内容が重複してしまうことが少なくない。お金がもったいない。
 印象的だったのは、一度理論に踏み込むと、進むことも戻ることも困難になるという文章だ。たしかニーチェが同じようなことを言っていたと思う。

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