孤闘―立花宗茂

著者
出版者
中央公論新社
価格
¥1,890
(5.0点)
柳川のお堀めぐりを堪能したのは、今から17年前。大学の面々数人で
廻った柳川の街並みは今も覚えており、再訪したい場所の一つ。

のんびりとした舟旅の中、行く先々の景色も良かったが、お堀めぐりの
終盤に現れる、御花の広大な様子も印象深いものがある。ところが同行
者に歴史好きが揃っていて、私自身もそうだったにも関わらず、時間の
都合もあって御花には立ち入らずじまいだった。

立花家で最も著名な宗茂公の事は当時から知っていたものの、私がその
後で訪れた各地の史跡には宗茂公に関するものがなく、宗茂公が関ヶ原
合戦の本戦に参戦しなかったこともあり、事績や故事、さらには書物に
も触れぬまま、御花に感銘を受けてから永い年月が過ぎてしまっている。

ところがその名は忘れるどころか、ゲーム内での勇猛さ、関ヶ原後の改
易にも関わらず復活を遂げた大名として、私の中でより深く知りたい人
物の一人としてますます存在は大きくなるばかり。

そんなところに本書を手に取る機会があり、面白く読ませてもらった。

高橋家から立花家へ養子に行ってからの苦労に話の重点が置かれており、
有名なイガのとげを踏み抜いた際のエピソードなど、入門書としては最
適ではないかと思う。養子ゆえの正室との確執や改易後の仲直りなど、
誾千代との感情の行き違いの歴史も一つの主要テーマになっているため
、単なる武勇伝の要約に堕していないところも評価できる。

ただ、難点としては、話がするすると進み過ぎるように思う。タメの部
分が少なく、一気に読めてしまうことと、浪人時の苦難の生活にも宗茂
公の人物史の豊かさが含まれているように思えるので、この部分をもう
少し読みたかったように感じた。

'12/1/24-'12/1/25

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