あかね空 (文春文庫)

(5.0点)
読みごたえのある時代小説。傑作。
ある豆腐やのお話。京都の柔らかい豆腐が、果たして江戸で通用するのか。一人江戸に出て勝負を挑む若き京の豆腐職人・・・。だが、粛清が進む江戸の中で一つの店を切り盛りしていく前に立ちはだかる多くの壁が家族の関係を揺るがす。若いときは明るく気さくな奥さん、おふみさんが、たて続けに起こる両親の不幸によって心身的に変わっていく姿。身につまされる場面も多い。長男への寵愛具合は、母親とはそういうものという同情とやりすぎだろうという非難の感情が自分の中でぐつぐつと渦巻く。
家族みんな様々な立場あれ、一体となった時のパワーは何よりも強いものとなる、そんなことが印象に残る物語だった。

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