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部活の合宿に向かうバス事故でたったひとり助かった少女と、彼女をとりまく人々を描く短篇連作集。文句なしにうまい。
助かってしまった自分を責めつづける少女がいたわしい。そして、周囲から安易に投げかけられる「よかった」「がんばれ」という言葉が、なまくらな刃物のように彼女の心をさいなむことに気づきふるえる。
声援するほうは悪意なく「がんばれ」と言うのだし、言ってしまえば気がすんでむしろ自分の善意を再確認し気分がよかったりもするのだが、言われた本人はその言葉の重さを背負って日々を生きていかなくてはならない。
言葉はこわい。でも、わたしたちはそれにすがって生きるしかないのだ。