最も重要な二一世紀の現実は、破局的ともいうべき少子化の進行である。しかも、これは人類史上初めてのものである。
すでにヨーロッパと日本では、出生率が人口を維持できないところまで下がった。(p.49)
(1)今後二〇年から三〇年において、先進国では、人口構造をめぐる諸処の問題が政治の中心となる。当然それは喧々囂々たるものになる。
〈略〉
同じように、あるいはそれ以上に難しい問題が移民受け入れである。〈略〉
最も深刻なのが日本である。定年が早く、労働市場が硬直的であり、しかも大量移民を経験したことがない。〈略〉
(2)そのため、先進国では安定した政治も強力な政府も望みえなくなる。政治は不安定たらざるをえなくなる。
〈略〉
(3)そして、退職の意味が変わる。〈略〉高年者人口の重心が肉体労働者でなくなるに伴い、さらには知識労働者となっていくに伴い、加速してゆく。
このような状況のもとにあって、仕事と雇用に関して、特にイノベーションが必要とされているのがヨーロッパと日本である。
(4)あらゆる先進国において、働く人たちすべての生産性、とくに知識労働者の生産性を急速に向上させてなければならなくなる。さもなければ、いかなる国、いかなる組織といえども、その地位を失い、貧窮化への道をたどる。
--出典:
明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命