論理の方法―社会科学のためのモデル
本書は、社会科学において最も重要な概念である「モデル」について、近代経済学から丸山眞男「日本の思想」に至るまでを、小室調の軽妙な語り口を交えて、網羅している。特にケインズ経済学については、若干の数式を交えて、初学者にも深く学べる内容である。
 本書の要諦は、「モデルとは本質的なものだけを強調して抜き出し、あとは棄て去る作業」(“はじがき”より)だということである。これが分かっていない輩が、学者の肩書を持つものでも意外に多い。モデルとは仮説であることを理解しないがために、現実をモデルに合わせようとして歪めて認識してしまう。
 本書の目次は以下の通り。
第1章 近代国家の原理と古典派経済学モデル
第2章 ケインズ経済学モデル
第3章 マクス・ヴェーバーにみる宗教モデル
第4章 マクス・ヴェーバーにみる資本主義の精神
第5章 丸山真男の日本政治モデル
第6章 平泉澄の日本政治モデル