【「はじめて読むドラッカー」シリーズ】
ドラッカーを読み始めたいという読者にはうってつけの本である。本書は11の著作・論文から選りすぐった論集であるだけに,企業・社会に対するドラッカー一流の深い洞察が随所に顔を出しており,ドラッカー理論のエッセンスに触れることができる。巻末には出典著作の解説が出ているので,興味を引かれた本から読み始めることをお勧めしたい。
もちろん,本書は多くのドラッカー・ファンにも十分楽しめる本である。何しろ個の生き方というテーマを柱にした本は初めてのものである。しかも編者の巧みな構成によって内容的にも新鮮なものとなっており,新作に匹敵する価値がある。
本書の最も優れているところは,ドラッカー自身がどう学び,どう成長してきたかを語る「私の人生を変えた七つの経験」である。現代の巨人が自ら語る成功の秘けつは,まさに「プロフェッショナルの条件」そのものといってよい。