人体 失敗の進化史 (光文社新書)
多くの読者の皆さんは、あなたの耳が昔の動物では顎のパーツだったといわれても、何のことか分からないかもしれない。あなたの土踏まずの窪みが、この500万年間のサルのなかまの歴史を語る、輝かしい勲章であることをご存知だろうか。あなたが女性なら、毎月訪れる生理が、わがホモ・サピエンスの類まれな生き残り戦略の帰結であるということを聞いたことがあるだろうか。トクトクと休まずに震えるあなたの心臓が、5億年よりはるか前には、“お腹の内のり”だったといわれたら、私たちは面食らうばかりかもしれない。
そうしたヒトの歴史を知る術として、私たちはたくさんの遺体に頼ってきているのである。自分たちの身体の歴史を探る手段が、実は人知れず研究されてきた動物たちの遺体だったのだ。
--出典: 人体 失敗の進化史 (光文社新書)
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