保守主義の逆機能の一つは、少子化です。ポスト工業社会においては、日本、スペイン、イタリアなど、伝統的な性役割にもとづいた価値観や制度の国のほうが、少子化が激化する傾向があります。
なぜかといえば、男性の平均賃金が下がり、女性が働きにでざるをえないのに、保守主義が障害になって対応ができないからです。男性は家事をしない、休職制度も保育園も整備されていない、というのでは、女性は子どもを産まないか、あるいは結婚しません。出産して主婦になったとしても、働きにでられないと収入が少ないので、何人も産みません。保守的な価値観が、逆効果になっているのです。(p394)
--出典:
社会を変えるには (講談社現代新書)