現代思想 2013年4月号 特集=就活のリアル
現在の就活システムというものは、若者たちを「体制内馴化」させる、既存の労働市場秩序や社会秩序に歯向かわさせずに、それを受容させる強力な装置として機能しているのではないかということです。ここで言う「就活システム」とは、新卒一括採用のことだけを指しているのではなく、学校教育や大学教育が就活に連動していること、生徒や学生に対して、就活に疑いを持たせず、そこに邁進していくように仕向ける体制を敷いている、ということも含めてのことです。要するに若者たちは、最初から現在の就活にも、いまある偏った働き方にも疑問を持たないように巧妙に「社会化」されているのです。
〈中略〉就活システムに乗らない若者も、現在の就活が体現している価値秩序を「内面化」し、そういうものとして承認しています。これは学校教育の「偉大な」力です。自己責任論に基づいて、乗らない(乗れない)のは自分のせいであると考えているのではないでしょうか。だから「就活への反抗」は、イコール「非正規社員への順応」になるのです。(p92,児美川)