超富裕層をA層、中間層をB層、貧困層をC層とし、さらにその下にほぼ無収入のD層や外国人労働者が加わる。
一人勝ちしているのはA層だが、その姿が見えない。
〈中途略〉
B層はC層を「能力が低い」と蔑んでいる。C層はD層や移民に対して「社会保障費をムダ食いしている」と避難する。C層はB層に「自分と同じ程度しか働かないのに高給を得ている」と妬む。D層はどうしても這い上がれないのを感じとり、世の中に深い怨みをもっている。
B・C・Dの各層が身近な階層を互いに非難している限り、A層は安泰である。これは為政者の心性操作にもよるが、消費社会状況でのセグメント化(個人化)にもよる。社会問題を個人問題にすり替える思考回路が作られている。
この状況で、教育改革と称して「民営化」進められる。先に述べたとおり、教育は庶民に今の生活から脱け出す「希望」や幻想をばらまく。だから「民営化」もしやすい。数十校の校区の全予算を使い、たった一校の中高一貫校を作っても庶民は怒らない。自分の子が入れるかもしれないという幻想を抱くからだ。(p19)
--出典:
教育と格差社会