ひとつの生命をこの世に送り出すことは、愛らしさと共にうっとおしさを、楽しさと共にしんどさを、喜びと共に苦悩を、引き受けることである。子どものいる人生は、単に愛らしさや楽しさや喜びに満ちているだけでなく、うっとおしさやしんどさや苦悩にも浸されている。その上、未成熟な子どもは、大人に対して社会的弱者である。だから、子どもを産むことは「弱者と繋がりながら生きる」ことになる。弱者を抱え込んだ人間は、能率よく動けない。業績達成に重きを置く現代社会の競争の場で、「弱者と繋がりながら生きる」ことは不利である。