19世紀初頭以来の歴史を見てみると、貨幣化経済の発展にともなって、それを補足する非貨幣的要素が形成されてきたということがわかる。それらはともにひとつの経済空間を構成し、どちらも同じく、産業化以前の社会において優勢であるものとは無関係である。実際、より直截にいってみるなら、産業化とともに、報酬は受けないがしかし家庭を市場から独立させることにはなんら貢献していないある種の労働が出現したのである。事実、この新たな種類の活動、すなわち、生活資料の生産にはかかわらない家庭という新たな空間における主婦の<シャドウ・ワーク>は、賃金労働者である夫の生活の必要条件となり、彼を雇用ー正式に申告をして課税の対象となるものにせよ、もぐりの労働にせよーへと物質的にしばりつけている。