シャドウ・ワーク―生活のあり方を問う (同時代ライブラリー)
サーヴィスのエキスパートたちが人々の「面倒を見ている」あらゆる領域で、これらの専門家たちは、素人、言い換えると客を自分たちの監視のもとに無報酬で働く助手として引き入れようと躍起になっている。こうした自助の術作によって、産業化社会の基本的分岐が家庭の内部に投影されている。誰もかれもが、消費者としての自己の欲求を満足させるのに必要な商品を個人的に生産する者となっているのだ。<シャドウ・ワーク>のこうした新たな拡張を進めるべく、代替策、非集中化、意識化などといった語は、それらを用い始めた人々が考えていた意味と正反対の意味を帯びさせられている。人間生活の自立と自存にとっての<ヴァナキュラーな領域>に固有な活動と<シャドウ・ワーク>との区別を明らかにし、理解をうながさないならば、自己満足と自己監視の経済が80年代をとおしての第一の成長部門となることであろう。