シャドウ・ワーク―生活のあり方を問う (同時代ライブラリー)
今日にいたるまで、経済の発展はつねに、人々が物をつくるかわりにこれ以降買うことができるようになる、ということを意味してきた。市場をこえている使用価値が商品に置きかえられるのである。経済の発展=開発はまた、商品なしに暮らすことを可能にしていた諸条件が物理的・社会的・文化的環境から消え去ったがゆえに、まもなく人々が商品を買わざるをえなくなるということも意味している。そうなると環境は、物資やサーヴィスを金銭で買う能力のない者によって使用されることがもはや不可能となる。

…「生き生きとした共生のための用具」においては、いかに経済成長が使用価値を創りだすことのできる環境を破壊するかを示した。この過程を私は「貧困の現代化」と名づけた。なぜなら現代社会においては最も購買力のない者がまさしく共用地の利用上の価値から最も遠ざけられている者でもあるからだ。この事実を私は「必要なものの充足にたいする、商品による徹底した独占」に起因するものと考えた。