ヴァナキュラーというのは、「根づいていること」と「居住」を意味するインド-ゲルマン語系ののことばに由来する。ラテン語としてのvernaculumは、家で育て、家で紡いだ自家産、自家製のもののすべてにかんして使用されたのであり、交換形式によって入手したものと対立する。自分の妻の子、奴隷の子、自分が所有する家畜のろばから生まれたろばは、ちょうど菜園や共有地からとれた基本的な生活物資のように、ヴァナキュラーな存在である。…すなわちそれは、生活のあらゆる局面に埋め込まれている互酬性の型に由来する人間の暮らしであって、交換や上からの配分に由来する人間の暮らしとは区別されるものなのである。