財務上の観点だけから見ても、われわれはまったく新しい種類の問題に直面している。大切なことは、今日株主になった人たちが年金をもらう歳になるまでの三、四〇年を立派に経営することである。これはかなり実現の難しい目標であって、非現実的とさえいえる。企業の平均寿命、少なくとも繁栄する企業としての平均寿命は、かつて三〇年を越えたことがない。
したがって、われわれは経営の概念そのものを変える必要がある。もちろん、その評価の方法も変えなければならない。
しかも、知識労働者にとって意味があり、彼らのやる気を引き出すような、金銭とはかかわりのない成果についても明らかにしなければならない。非金銭的な見返りが必要とされている。
今やあらゆる組織が、自らにとっての成果の意味を徹底して検討する必要がある。成果とは、これまでは当然かつわかりやすいものだった。だが、もはやそうではない。組織としての経営戦略を、その成果についての新しい定義を前提として組み立て直さなければならなくなっている。(P69)
--出典:
明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命