レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)
いつも私はこうなのだ。結婚などしなければ良かった。つき合わなければ良かった。どうして、そのときどきで踏み留まれなかったのか……。わからない。その場では、それが自然だと思った。正義だとさえ思った。すべて錯覚だったのだろうか。あとになって思い返してみると、自然だ、正義だ、と感じた気持ちの残骸だけがあって、何故そう考えたのか、まるで思い出せない。