四季 秋 (講談社文庫)
つまり、何をするかを自分で考え、人の分まで仕事を作っている。上からはなにも言われないのに、今の方が忙しく感じるのが不思議である。人から言われてやることが仕事だと考えていたのに、それも逆だった。
自分が一番よく知っていること、自分にしか事情がわからないことも多くなった。もし結果に間違いがあれば、それはすべて自分の責任になる。そういったプレッシャが、彼女を慎重にし、そして、何度も立ち止まり、後ろを振り向かせるようになった。その分、前進速度は衰えた。周囲を見回すようになり、逆に自分の立場が理解できるようになった。前ばかりを向いていた頃には、考えもしなかったことだ。
--出典: 四季 秋 (講談社文庫)
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