τになるまで待って PLEASE STAY UNTIL τ (講談社文庫)
「そうじゃなくて、物理的にどんな方法が現実にありうるのか、をまず問うべきだよ。理由というのは人間の気持ちの開題であって、そんな心理まで考慮していたら、結局は論理に曖昧性を持ち込むだけで、目標が霞んじゃうと思う」
「凄いこと言いますね、山吹さん」加部谷は素直に感心した。
「これに似たことを国枝先生から言われたことがあるんだ。研究でね。つまり、自分が既に持っている常識が、新しい可能性を知らないうちに排除してしまうことかあるって」