「自分が何者か」ということは、自分だけで考えていてもわかるものではない。それは他者との関わりのなかではじめて見えてくるものであり、それは組織についても同じであろう。そのことに気づいた柳澤は、「『社会に貢献する方法論を企業側から宣言するもの』が経営理念だ」と理解した。しかも、ワンフレーズで皆が覚えられ、仕事で何か迷ったときに思い浮かべると、きちんと進むべき道を示してくれる道しるべとなる言葉。つまり組織を正しい方向へ導くための羅針盤のような言葉でなければならない、というのが柳澤の辿りついた結論だった。(p.96)