スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302)
評価 : (5.0点)

発作的に再読。
偉大な小説だ。あらゆる時間を同時に観察出来るトラルファマドール星人の視点を得たビリー・ピルグリムによって、時系列を自在に行き来しながら、第二次大戦のドレスデン爆撃を淡々と描くのだが、ヴォネガットは諧謔を忘れない。
そして、仰々しい感情も持ち込まない。登場人物に余計なキャラクター性も持たせない。
作中の言葉を拝借すれば、全てが「トラルファマドール的に」書かれていく。
SFでもあるし、私小説でもあるし、大河小説的でもあるし、ともすればドキュメンタリーでもある。
偉大な小説だ。
ぼくは、ヴォネガットの描く「明るい絶望」が大好きである。


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